アノハシへ

2021年10月、半世紀の歴史を経て、アノハシが撤去された。

アノハシは1972年札幌冬季オリンピックに向けて、当時北海道大学の中に今の石山通りを通す時、分断されてしまう北大と北大をつなぐため、北7西10に建てられた跨道橋だった。石山通りを通る人々には、どこが繋がっているのか謎に思われ、北大の人にも知らない人がほとんどだった「アノハシ」として存在してきた。老朽化のため、コロナで延期された東京オリンピックが開催されてからの2021年に、撤去された。

韓国語で橋を意味する「다리」という音は、脚という意味ももつ。アノハシは場所をつなぐ役割があると同時に、まちの風景を支える存在でもあったとふりかえる。普段は気づかれてなかったが、撤去される噂から存在が注目されるようになった。アノハシに積み重なった、時間を超える様々な人の思い出を通して、まちからアノハシが無くなったことが持つ意味について、それぞれが考えられる場を目指したい。

500m美術館vol.37 第9回500m美術館賞入選展

会期|2022年2月12日(土)~4月13日(水)
会場|札幌大通地下ギャラリー500m美術館
   札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目
   (地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース)
時間|7:30~22:00
主催|札幌市企画
運営|CAI現代芸術研究所/CAI03(有限会社クンスト)、一般社団法人PROJECTA


「さよなら、アノハシ ― 記録と記憶の間で」
朴がテーマにする石山通りに渡された北海道大学のキャンパスをつなぐ橋は、2021年10月に老朽化により撤去された。街の中で忘れられてしまう消えゆく存在にフォーカスした点が興味深かった。橋について覚えていることについて情報を市民から募る予定であり、それによって生き生きとしたエネルギーをもつ作品へと発展することが予想される。市民の記憶や歴史を通して新たな視点を得ようとする魅力的なプロジェクトだと感じた。
審査員コメントより抜粋